プラントエンジニアリングとは?
プラントエンジニアリングとは、プラント(製造設備を含む工場)の企画・設計・調達・建設・施工管理・保守等に関する仕事の総称です。
また、言い換えると「工場内に設備を設置し、内部を製作物に合わせてシステム化すること」です。
例えば、皆さん想像されるように石油”プラント”などのプラントですね。他にも、化学、発電、製鉄、環境など様々なブラントがあります。
まずプラントってなに?
そもそも名前はよく聞く”プラント”は何を指すのでしょうか。
プラント(plant)とは英語で工場、生産設備を意味する言葉です。工場という意味ではfactoryの方がよく聞く単語かもしれませんが、少し異なります。
プラント(plant)の場合、原料や原材料などの素材資源を生産する工場を意味します。石油プラントであったり、化学プラントなどは、工業活動に向けた”原料”を生産するための工場なのでプラントという言葉を使います。
また、工場(Factory)では、自動車や衣料品など素材を組み合わせて製品を製造する工場を意味します。
プラントという言葉には大規模という意味合いはないため、小規模であっても素材を生み出す生産設備があればプラントと呼びます。
・プラントの種類
プラントの種類としては大きく三種類(製品系・エネルギー系・環境系)に分けられます。
「製品系」
製品系のプラントは、石油、化学、製鉄、製薬医薬品、食品などの文字通り製品になるプラントです。
「エネルギー系」
エネルギー系のプラントは、発電、LNG(ガス)などのエネルギーに関するプラントです。
「環境系」
環境系のプラントは、環境プラント、水処理プラントなどがあります。
プラントエンジニアリングの持つ役割って?
プラントの建設、運営には多くの人やお金が関わり莫大なコストがかかる仕事のため、プラント設置にあたり、企画、設計、資材調達、建設工事、施工管理、設備構築、運用、保守に至るまで専門的なスキルや知識を持ったエンジニアによって実施されます。
このため、専門性の高い仕事を遂行するために専門的な力を持ったエンジニアが必要になりプラントエンジニアリングという業務が生まれることになります。
仕事の工程はどんな感じ?
プラントエンジニアリングの仕事内容は以下の5つの工程に分類できます。
- 提案
- 見積り
- 設計
- 調達
- 工事
提案
最初に、顧客の要望やニーズに応じて既存プラントの改修案を提案する。顧客の言語化できていない希望や目的を理解し、技術的・予算的に達成できる案の提案が大切です。提案工程で顧客の目的やプロジェクトの概要を固めることで、後の工程が楽になります。
見積り
提案や見積もりの最終案に基づいて、具体的なプラントの設計を行います。設計工程で機器の配置や配管・配線の設計方法や、安全対策から大規模プラントによっては制御システムの設計まで含まれます。
調達
プロジェクトに必要な資材や設備機器の選定・発注を行います。設計に基づいて必要な「特注品」です。したがって、納期をしっかりと確認し、調整していかなくてはなりません。調達工程、設備機器を現場に搬入する際には、受入検査も担当します。
工事
工事の建設工事を行った後に、設計した機器の設置と各種工事を行います。
業務範囲について
プロセス設計
プロセス設計では、プラント全体の作業の流れを設計する。火力発電所であれば、水を沸騰させて水蒸気を作り、水蒸気がタービンを回して電気を生み出すというような一連の流れがあります。
この時の、流れや圧力などの設計を行うのがプロセス設計です。
土木・建築設計
工場を建設する予定の敷地に対して基礎の設計を行い、杭基礎図や建築図を作成します。このとき、建築物や機器を置いても問題のない基礎となるように設計を行います。
配管設計
プロセス設計で得られたデータを基に、配管・機器設計を行う工程です。配管の形状や流体に応じた材質の選定も必要です。配管形状はプラントの外観上、最も印象に残りやすいことから、見た目も重要な要素です。
電気・計装設計
電気設計では、プラント全体の電気の配分や電灯・通信装置などを設計します。
防消火関連の設計
防火・消化のための設備設計を行います。具体的には、散水設備やガス検知器などが該当します。
機器設計
プラント内に設置する回転機やコンベアなど、文字通り産業機械を設計する工程です。
必要なスキルって…??
何が求められることが多いのでしょうか?
・プラントに関する専門知識
これは上記のような工程に関する専門知識が学士以上のレベルで求められることがあります。
・マネジメントスキル
プラントエンジニアは、現場監督のような役割を担う事があるため、現場作業員や職人と適切にコミュニケーションをとりつつ、現場の施工管理を進めていきます。このため、納期・品質の両方を確保しながらチームを前進させて行けるマネジメントスキル・コミュニケーションスキルが大切になってきます。
業界の現状と展望
プラントは、石油やガスなどのエネルギー、化学、医薬、金属など社会や経済を支える重要な物質の生産設備であり、プラントエンジニアリング業界では、国内外の企業から石油精製、化学、製鉄、発電などのプラントを請け負います。このため、社会・経済に大きな影響があります。
巨大なプラントになれば、一国の経済を発展・加速させ、社会生活に大きな影響を与えることもあります。また、海外でのプラント建設を通じて、世界のエネルギーの安定供給や産業の高度化にも寄与しています。
国内の大手としては、日揮HD、千代田化工建設、東洋エンジニアリングの3社が御三家としてよく知られています。
プラントエンジニアリングの課題
成長への期待が高い一方で、プラントエンジニアリング業界では海外のライバルとの価格競争など課題も多く、多くの企業が「労働力・人材の確保」を経営課題に挙げている。巨大プラント工事が、熟練労働者の人手不足や賃金上昇などの理由で予定通りに工事が進行せず、巨額な追加費用が発生し大きな損失を抱えるケースもあり、徹底した後期や費用の管理が求められている。
また、人材の確保と同時に、AIやドローンなどの最新のデジタル技術を積極的に活用して新たな価値を生み出す、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も急務となっています。
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